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「アンタってヤツは、俺のアレを知ってる癖に、恰[あたか]も他人のように言いやがって!それでもバディかよ?!ぇエ?!」
この彼の攻撃に、洋一は、頬からの痛みに涙目になりながらも、自分の頬を摘んで抓ってくる彼の手を引き剥がし、また摘んで抓られないように抵抗する。
「だからって、男同士なら有り得ない行動をとるかよ?!不自然だろ、お前!」
「ッるせエ!それでも、俺は見られンのが嫌なんだよ!少しは俺のことを考えて言えや、ゴラ!」
「ハァ?!そんなのいちいち考えんのめんどくせぇよ!お前がそれを直した方が良いだろ!?」
「ァア゛ッ?!生意気なこと言ってんじゃねぇぞ、テメェ!」
『うるっっさいわ!この馬鹿たれが!ブッ叩かれてぇのか?!』
ドアの向こう側から聞こえる、檜原の大きな怒鳴り声。
この声に、洋一と相模はビクリッと肩を跳ねさせると、互いの取っ組み合っていた手を離し、そのままおとなしく肩まで湯に浸かった。
またあの時のように、尻にハリセンの強烈な一撃を食らったら、たまったものではない。
「ハリセンで尻叩かれるなんて、もう懲り懲りだぜ……」
「あぁ。檜原さんって『憤怒』にあたる存在だし、直ぐにこっち来て、容赦無くブッ叩きそう」
「ん?『憤怒』にあたる存在?」
──何だソレ?
聞き慣れない言葉に、洋一は疑問を浮かべて相模を見つめていると、彼は浴槽の淵に両腕を置き、ゆったりとしながら話し出した。
「兼城、アンタには、ちょっと聞き慣れねぇだろ?
これから、かなり中二っぽいこと話すけど、ちょっとした参考程度に覚えておけよ?」
「あぁ、わかった」
洋一は、おとなしく湯に浸かりながら頷いて、彼に話の先を促す。
「ええと、アンタを除く俺らRe:setメンバーには、人が心の内に抱える『大罪』というものが割り振られてんだ。
檜原さんは、怒りのままに暴れる『憤怒』。森泉さんは、性に対する欲の『邪淫』。長都さんは、何でも食い尽くす『暴食』。播磨さんは、何もかも意欲を持たない『怠惰』。スッくんは、自分の欲を満たす為に何でもする『強欲』。御咲さんは、高すぎるプライドの『傲慢』」
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