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こういうところは、流石は、Re:setの一員というだけはあると思うのだが、何せ今回のターゲットは、彼の趣向には持って来いの王子様タイプのイケメン。
どんな男性達と関わって、どんな事をして絡んでいるのかという、邪で不純な理由も考えられなくもないのだ。
「あ!もうスタートじゃん!」
ふと、腕時計を見た周防が声を出し、彼はダウンジャケットの襟にあるボタンを押して、この場でスゥッと姿を消した。
「オレ、先に行ってくるね。オレが『よし』と言うまで、ちゃんとおすわりして待ってるんだよー?」
「あなたの犬じゃないんですけど」
「俺は犬じゃないです。ていうか、MUSASHIの方が犬ですから」
クスクスと笑いながら言う周防の台詞に、洋一は反論し、相模が冷めた顔で一言多く言う。
洋一は不愉快さに片眉を上げ、知らん振りをして周囲を警戒する相模を睨み付けた。
すました顔をして、何も言ってないというその態度は、まるで自由気ままに生きる野良猫のよう。
その様に、洋一は鼻で軽く笑うと、テレビ局周辺を見つめて言った。
「なら、SYUSEIさんは野良猫だな。独りぼっちで行動して、人慣れしていない、単独を好む意地の悪い猫だ」
「あ゛?気に入らねぇこと抜かしやがって。ぶん殴る!」
相模が、握り締めた右拳を振り上げて、此方を睨んで突っ掛かってくる。
洋一は、小さく笑んだままその拳を左手で受け止めて、仕返しに相模の額を指で軽く弾いた。
すると、彼はその場で飛び上がって、後方宙返りしながら両足で洋一を蹴り、小さな音を立てて着地して、倒れて直ぐに起き上がろうとする洋一を見下ろした。
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