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綺麗な砂浜で女は言う。
「こんな綺麗な海もいつかは私達が壊してしまうのよ。いつかは全ての生物を殺し、やがて私達も死んでいくの。
フフ、まるで心中ね」
私が黙っていると、女はそれでも言葉を紡ぐ。
「あなたは人間に、私達に何を求めているの?生産力?破壊力?それとも創造力?
どれもこれも全てはなくなるわよ。
そう、全ては意味のないものになるの。無意味なもの。あってもなくても困らないもの。存在しないもの。
そーんな人間にどれ程期待しているの?現実を見なさい。」
女はそこまで言うと疲れたのか砂で遊び始めた。
「そうね、童心に還ったつもりで泥団子を作ろうかしら」
女は黙々と作る。
私は黙って見守っている。
女は泥団子を作ったかと思うと、いきなり次々と海に放り投げた。
そして満足したかのようにこちらを見て笑い、
「これが人間の一連の流れよ」
と吐き捨てた。
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