約束

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「色々と話をすれば脳に良い刺激になるかもしれないので、仲良くしていただけませんか?」 思いがけない看護士の言葉と、それを快く許してくれた父の言葉を良い事に、私は足しげく父の病室を訪れた。 初めは警戒していた母も、次第に普通に話せるようになった。 しかしそれは他愛のない話に他ならず、あくまで『ナナシ』としてしか接することができずにいる。 …私は20年後からタイムスリップしてきたあなたの娘です…なんて現実味の無い話、どうやって信じてもらえばいいんだよ…。 良い答えが出ないまま時間はどんどん進み、父の顔が私の記憶にある最後の父の顔へと近づいてくる。 …どうしたら良いんだろう…。
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