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「あぁ、昨日は呑みすぎた」
ちょっと二日酔いでフラフラする頭で駅へと歩く。
「今日は、得意先に挨拶回りだったな」
面倒な仕事。
好きでもないオッサンに媚びへつらって、ニヤニヤ笑うだけの仕事。
それで、商品を買ってくれればまだいいが、そんなことがあった事例は、少なくともここ十年はない。
全くもって面白くない仕事だ。
それに比べ、昨日の飲み会は楽しかった。
気のいい奴だけ集めたのもあるだろうが、何か意見を言っても、みんな「そうですね」って同調してくれたもんな。
なんだっけ?
なに言ってたっけか?
まぁ、いいか。
おかげで、お酒がほんとに美味しかった。
あんなに気分よく酔えたのは久しぶりだ。
だのに、今日ときたら……。
いっそ、仮病で休んでやろうか?
いや、でも、有給残ってないしな。
クソ課長に言われそうだ。
「お前なんて、クビだ!」
なんてな。
そうやってケラケラ笑っていると、いつもの駅に着いた。
ん、落ち着いて考えてみると、ケラケラ笑いながら歩くって、俺ってば不審者だな。
ヤバいヤバい。
ちょっと気を付けねば。
会社でやった日にゃ、それこそクビかもしれん。
とりあえず、顔を引き締めて、仕事モードにしないと。
あぁ、でも、電車が止まれば堂々と休めるよな。
なんか、昨日の帰りも止まってたし、今日も……と、運行表示に赤文字はなし。
平常運転ですか。
まぁ、当たり前だわな。
僅かに思った希望を棄て、定期券を改札機にタッチさせる。
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