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「三種の神器は知ってるよね」
古来、日乃元の女皇に受け継がれてきたという神話的な武具だった。クニがふざけていった。
「おー、おおきくでたな。鏡と玉と剣だったっけ。神器なんてほんとにあるのか。あれは噂というか伝説みたいなもんだろ」
萬(よろず)家の双子の姉が顔をしかめた。ジョージがとりなすようにいう。
「八咫鏡(やたのかがみ)、八尺勾玉(やさかのまがたま)、それに草薙(くさなぎ)の剣だったね。その三種類の神器をもつものは無敵だったという」
妹のカケルがクニに舌を出した。
「外人さんのほうが神器に詳しいなんて、日乃元男子も駄目になったものね。あなた成績悪かったでしょう」
「なんだと」
確かに3組1班の4人のうち成績が最も悪かったのはクニだった。むきになっていい返した。
「卒業しちまえば、養成高校なんて関係ないだろ。成績なんて糞くらえだ。そっちこそ近衛(このえ)四家のコネでもつかって天萬(てんまん)に潜りこんだんじゃないのか」
カケルが泣きそうな顔になった。
「お姉ちゃん、この人いじわるなこという。わたしが一芸入試だからって、馬鹿にしたよ。うち、この人好かん!」
タツオは苦笑していった。
「おいおい、ふたりともいい加減にしてくれ」
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