0人が本棚に入れています
本棚に追加
「諸君の帰還を私は、なにが来ようとここでずっと待っている」
傭兵部隊「白銀の獅子」リーダーのグラハム・リグナスの言葉を、俺達は姿勢を正して聞いていた。
「どのような姿になろうとも、必ず生きて帰れ」
作戦開始前の通例だ。
部隊に所属した頃は「何を綺麗事言っているんだ」と、自分の倍以上生きている上官に心の中で反発していた。
「もう無理だと諦めるずに足掻け。どれほど無様だろうと」
しかし、殿を務めた作戦で死にかけた時、命がけで助けに着てくれたときに分かった。
この人は馬鹿だが、家族の命を金に変えるクズ達とは違うと。
傭兵部隊の仲間を、本当の意味での家族として扱っているんだと。
「それが、生きるためとはいえ、戦うことしか教えられなかった私から言える唯一のこと」
そして、この人は決まってこの言葉で話を締める。
「若人達よ、決して大人を許すな。無事に帰還し、大人が罪を忘れない為の証として生きてくれ」
年齢を感じさせない、いつもと変わらない威厳溢れるリーダーの姿に見送られ、俺達は戦場に向かう。
強い意志で敵を打ち倒す、白銀の獅子の鋭い牙として・・・・・・
最初のコメントを投稿しよう!