第19章

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 そう思っていたのに、お昼を過ぎた頃にチーフが来てくれた。  母は昼食をとるために病室にはいなかった。  宏人が帰ってからは母と言葉を交わしてはいなかった。  きっと母も昼食をとるというよりも、私と距離を取って気分転換をするために病室を出たのだろう。  さっきまでは一人にして欲しいと思っていたけれど、母がいなくなると少し痛みが増して来て、なんとなく不安になっていた。  スーツ姿で現れたチーフを見つけて安心した。  チーフも私の顔を見て優しく笑ってくれた。 「ごめんな」  それがチーフの第一声だった。 「チーフが謝らないでください」 「そばにいてやれなかったし、電話にも出なかった。ひどいヤツだよな」 「そんなことないです。それより、入学式は大丈夫でしたか?」 「うん」  チーフがそっと私の手を握ってくれた。
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