第19章

8/30
前へ
/557ページ
次へ
「とりあえずは、顔を見れて安心したよ」 「もう大丈夫です」 「大丈夫ってことはないだろ。もう絶対に無理はするな。店長にも連絡しておいたから」  しばらくはアルバイトには通えないだろう。でも、チーフの顔を見れるならそれでいい。 「お母さんは?」 「今、お昼を食べに行きました」 「そっか」 「母に会ったんですよね」 「うん」 「何か話したんですか?」 「いや。挨拶した程度だよ」  それならよかった。  心配して損をした。 「そうだ、これ」  チーフがポケットから私のスマートフォンを取り出した。  充電器も一緒に。 「持って来てくれたんですか?」  ここへくる途中に、部屋に寄ってくれたのだ。 「これがないと、連絡できないだろ」 「気が利きますね」 「美月と連絡が取れないと、俺が不安だからさ」  チーフの一言一言に安心する。  安心したら、痛みも引いていく。
/557ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1024人が本棚に入れています
本棚に追加