第19章

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 病気があるからといって、そのことを条件に将来を選択したくはない。相手にだって失礼だし、まるで私はお荷物のような存在なのかとやるせなくなる。  今は何を言っても無駄だ。  母に何を言われても、私の気持ちは変わらない。  それどころか前よりずっと、チーフのことが手放せない存在になった。  チーフがいてくれるから、これからの治療だって頑張ろうという気持ちになれる。 「帰っていいよ」 「帰れって、どこに?」 「旭川に帰っていいって」 「いつからそんなに我儘になったのよ」  母の言っていることの方が無茶苦茶だ。  これまでも口喧嘩をすることはあったけれど、基本的に母は私の味方だった。  過保護なところがあっても、私の意見を尊重してくれた。  そうして姉妹みたいに過ごしてきた。  でも今は、仲直りしようという気は起きない。
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