第19章

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 今は口を聞きたくない。  そう思って背を向けていたら、タイミングよく、看護師さんがやってきた。  私は車椅子に乗せられ、検査へと向かった。  そのあと先生から病状についての説明があった。  急性膵炎。  決して良い状態とは言えないけれど、安静にしていることで回復する。  腹痛や意識障害の症状が激しく出た割には、手術をするほどの悪化は見られないということだった。  母は説明が終わり病室に戻るとすぐに帰り支度を始めた。  スマートフォンを取り出して、慣れない手つきで画面を操作する。  宏人に連絡をしているのだろうか。  わざと尋ねることはしなかった。
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