第19章

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「明日、持って来て欲しいものがあったら連絡して」  それだけを言って母は出て行った。  私は急いでスマートフォンを取り出した。  チーフからのメッセージが一通届いていた。 "調子はどう? 明日またお見舞いに行くね"  その内容にホッとする。  母が余計なことを言ったのではないかと気が気ではなかった。  もう、ここへは来てくれないのではないかと不安でたまらなかった。  文字を打つ手が弾む。 "部屋でのんびりしています。初日から暇すぎて帰りたいです" "元気そうでよかった。お母さんは?" "今帰りました" "そうなの? まだ面会時間に間に合うから、顔を見に行ってもいい?" "ほんとですか?" "これから向かうよ"  気分は一気に回復した。  昨日までの数日間のことが嘘のように、いつものチーフに戻っていた。
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