第19章

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 ドアがノックされ、チーフかと思ったら看護師さんが入ってきた。  顔を見てすぐにわかった。  以前はよくお世話になっていた看護師さんだ。  二月に入院したときは、顔を合わせることはなかった。あのときすでにこちらの科の病棟に担当が変わっていたのだろう。 「昨日美月ちゃんが運ばれてきたときはびっくりしたけど、思ったより元気になっていて良かった」  看護師さんは、昨日は夜勤だったに違いない。でも私は気を失っていて、まったく記憶がない。 「明日から、四人部屋に移ることになるかも」  看護師さんは点滴をチェックしながら、そう言った。  一人部屋から四人部屋に移るのは病状が安定しているということなのだろう。  一人部屋の方が落ち着くけれど、仕方がない。 「昨日の人、彼氏?」  突然訊ねられて戸惑った。  私が運ばれて来たときに付き添っているのを見たのだろう。 「どっちですか?」 「ああ。二人いたもんね」  もしかしたら宏人を彼氏だと勘違いしているのかもしれない。  同年代の男性だと思うのが普通だ。 「背の高い方の人かなって思ったんだけど。違うの?」  看護師さんは、年齢のことは言わなかった。  歳上の人とか、お父さんみたいな人という言い方をされると思っていた。 「そうです」 「やっぱりね。そう思ったわよ」 「ほんとですか? 間違えているんじゃないかと思いました」 「二人ともイケメンだったけどね。でも、美月ちゃんには背が高い彼の方が似合ってるよ」
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