第19章

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「では、ごゆっくり。と言いたいところですけど、面会時間を過ぎて叱られないようにお願いしますね」  そう言って、看護師さんは出て行った。  チーフは置いてあった椅子に座る。 「看護師さんともすっかり仲良しなんだ」 「いつもお世話になってますから」 「入院は大変だけど、親切にしてもらえているならよかったよ」  チーフは安心した様子だ。  私が一人で寂しがっていると思って来てくれたに違いない。 「今日は、二回も会えました」 「そうだな」 「着替えて来たんですね」 「普通、そうでしょ。もうスーツを着て街を歩く習慣もないし」  でも、スーツ姿も格好良かった。  普段着でも、もちろんいい男だけれど。 「それより体は大丈夫なの?」  腕には点滴がしてあるし、体を起こすこともできない。  でも、気分はそれほど悪くはなかった。 「今は大丈夫です。でも、またあの痛みがいつかやって来るのかって思うと、ちょっと怖いです」 「そんなに辛かったんだ」 「たぶん、これまでの人生で最大ですね」 「そっか」とチーフは悲しそうな顔をする。
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