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「では、ごゆっくり。と言いたいところですけど、面会時間を過ぎて叱られないようにお願いしますね」
そう言って、看護師さんは出て行った。
チーフは置いてあった椅子に座る。
「看護師さんともすっかり仲良しなんだ」
「いつもお世話になってますから」
「入院は大変だけど、親切にしてもらえているならよかったよ」
チーフは安心した様子だ。
私が一人で寂しがっていると思って来てくれたに違いない。
「今日は、二回も会えました」
「そうだな」
「着替えて来たんですね」
「普通、そうでしょ。もうスーツを着て街を歩く習慣もないし」
でも、スーツ姿も格好良かった。
普段着でも、もちろんいい男だけれど。
「それより体は大丈夫なの?」
腕には点滴がしてあるし、体を起こすこともできない。
でも、気分はそれほど悪くはなかった。
「今は大丈夫です。でも、またあの痛みがいつかやって来るのかって思うと、ちょっと怖いです」
「そんなに辛かったんだ」
「たぶん、これまでの人生で最大ですね」
「そっか」とチーフは悲しそうな顔をする。
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