第19章

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「それで、検査の結果はもうわかった?」 「急性膵炎っていうらしいです」 「やっぱりそうか」 「その病気、知ってるんですか?」 「症状とか、ちょっと調べてみたら、それかなあって」 「わざわざ調べたんですか?」 「大切な彼女のことは、知っておきたいだろ」  チーフが心配してくれていたのがよくわかった。  さりげなく私を喜ばせる言葉を含ませる気遣いも。 「でも酒も飲まないし、やっぱりストレスが原因だったのかな」  チーフは自分のせいだとでも思っているのだろうか。  そんなふうに責任を感じて欲しくはない。 「先生も原因はわからないけれど、これからは食事にも気をつけるようにって」 「じゃあ退院したら、美味くて体にいいものを作るよ。うちに来て食べてもいいし、お弁当作ってもいいし」 「そんなことしてくれるんですか?」 「美月のためなら、なんだってするよ」  点滴をした方の手に触れる。  私はそっと握り返した。
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