1024人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は幸せ者ですね」
「そう思ってくれるなら嬉しいけど」
「早く退院したいです」
「そうだな。でも、焦らずゆっくり頑張ろう」
「そうですね。ここにいても、チーフに会えるなら大丈夫です」
「もう不安にさせないって約束したでしょ。俺だって会いたいし。出来る限り、会いにくるよ」
チーフの優しさが嬉しい。
でも、あの激しいお腹の痛みに怯えるように、数日前までのチーフとの一件が脳裏に散らつく。
もう不安にさせないとチーフは約束してくれたのに、不安は拭きれない。
それに、母の頑なな態度も私を不安にさせる。
この行ったり来たりする気持ちが、チーフと付き合っている間はずっと続くのだろうか。そんな情けない自分に苛立ちさえ覚える。
「チーフ」
「ん?」
「ギュッてしてくれますか?」
「うん」
チーフが私の体にそっと腕を回す。
「あの……」
「ん?」
「なにか、隠してませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!