第19章

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「私は幸せ者ですね」 「そう思ってくれるなら嬉しいけど」 「早く退院したいです」 「そうだな。でも、焦らずゆっくり頑張ろう」 「そうですね。ここにいても、チーフに会えるなら大丈夫です」 「もう不安にさせないって約束したでしょ。俺だって会いたいし。出来る限り、会いにくるよ」  チーフの優しさが嬉しい。  でも、あの激しいお腹の痛みに怯えるように、数日前までのチーフとの一件が脳裏に散らつく。  もう不安にさせないとチーフは約束してくれたのに、不安は拭きれない。  それに、母の頑なな態度も私を不安にさせる。  この行ったり来たりする気持ちが、チーフと付き合っている間はずっと続くのだろうか。そんな情けない自分に苛立ちさえ覚える。 「チーフ」 「ん?」 「ギュッてしてくれますか?」 「うん」  チーフが私の体にそっと腕を回す。 「あの……」 「ん?」 「なにか、隠してませんか?」
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