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「やっぱり私には、チーフの考えていることがよくわかりません」
「そんな複雑なことは考えてないよ。俺は単純だし、美月の方がずっと賢いだろ」
「賢くなんてないです。でも、チーフがおかしいってことだけはわかります」
「どこが?」
それはまるで昨日の痛みのように、どこかに異常があるはずなのに、原因がわからないのだ。
チーフは私の頭に手を載せた。
「美月は今、自分のことだけ考えていればいいよ。俺は、美月が元気になるまで、ちゃんとそばにいるよ」
「元気になるまで、ですか?」
「揚げ足をとるなよ。元気になってもずっとだ」
「じゃあ、元気になったら結婚してください」
そんなことを急に口にするなんて自分でも驚いた。でも、失いたくないという想いが歯止めをなくしていた。
「すぐに一緒に暮らせなくてもいいです。ずっと一緒にいてくれるなら、いつ結婚してもいいですよね」
「こういうことには順序があるだろ」
「どういう順番ですか? 私はもう成人しています。母のこととか、そういうのも関係ないです」
「お母さんとなにかあった?」
「私と母のことは、チーフには関係ありません」
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