第19章

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「やっぱり私には、チーフの考えていることがよくわかりません」 「そんな複雑なことは考えてないよ。俺は単純だし、美月の方がずっと賢いだろ」 「賢くなんてないです。でも、チーフがおかしいってことだけはわかります」 「どこが?」  それはまるで昨日の痛みのように、どこかに異常があるはずなのに、原因がわからないのだ。  チーフは私の頭に手を載せた。 「美月は今、自分のことだけ考えていればいいよ。俺は、美月が元気になるまで、ちゃんとそばにいるよ」 「元気になるまで、ですか?」 「揚げ足をとるなよ。元気になってもずっとだ」 「じゃあ、元気になったら結婚してください」  そんなことを急に口にするなんて自分でも驚いた。でも、失いたくないという想いが歯止めをなくしていた。 「すぐに一緒に暮らせなくてもいいです。ずっと一緒にいてくれるなら、いつ結婚してもいいですよね」 「こういうことには順序があるだろ」 「どういう順番ですか? 私はもう成人しています。母のこととか、そういうのも関係ないです」 「お母さんとなにかあった?」 「私と母のことは、チーフには関係ありません」
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