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「私の考えが甘いですか?」
「そんなことはないよ。ただ俺は、勢いに任せて突っ走ることはしたくない。美月より人生経験は豊富だからさ、大人らしく振る舞わないと」
チーフは頭をポンポンと叩いた。
「わかってくれた?」
私は叱られた子供のような顔をしていた。
「美月なら、わかるよな」
それでも返事をしないでいると、チーフは頭に載せた手にそっと力を入れて頷かせてみせた。
「うんって言ったな」
「強引に言わされたんですよ」
「そうやってムキになるところも可愛いな」
「からかわないでください」
「もしかしてさ、さっき……」
チーフはにやけた顔を見せる。
「俺、プロポーズされた?」
「え?」
「結婚してくださいって言われたよな?」
「言ってません」
「言ってないの?」
「言いましたけど、プロポーズじゃないです」
「なんで?」
「なんでって……」
チーフに鼻をつままれた。
そのときノックの音が聞こえた。
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