第19章

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 触れられていたチーフの手が離れる。  看護師さんかと思ったら、入ってきたのは芽衣子だった。  一瞬怪訝な顔をして、チーフがいるのがわかると「うわっ」と声を上げる。 「来てたんですね」 「うん」 「お邪魔虫は、すぐに帰りますから」 「お邪魔ではあるけど、帰らなくていいよ」  チーフは芽衣子に対して、いつもそんな言い方をする。 「面会は七時までだと思ってたから、ダメかなと思ったけど、八時までだったんだね」  アルバイトが終わってから急いで来てくれたのだろう。芽衣子は車を持っていないから、電車を利用して来てくれたに違いない。 「帰りは?」  チーフも同じことを考えていたみたいだ。チーフから、芽衣子に訊ねていた。 「電車で帰りますよ」 「まっすぐ帰るなら送ってくよ」 「いやいや。チーフに送ってもらうなんてとんでもない」 「そんなに嫌か」 「二人きりになったら、美月が心配しちゃいますよ」  そう言って同意を求めるように私を見た。
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