第19章

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「ぜんぜん大丈夫だよ。それに、わざわざ来てくれてありがとう」 「昨日は生きた心地がしなかったよ。さっき宏人から元気になったって聞いて安心したけど、やっぱり顔を見に来たかったから」  そんな友人がいてくれて、私は本当に幸せ者だと思う。 「色々ごめんね」 「謝ることないよ。それより早く元気になって、バイトに戻って来てよ。美月がいないとつまらないし」 「うん」 「店長も心配してたよ。美月は、みんなから愛されてるね」  そんな言い方をするなんて、チーフの反応を伺っているみたいだ。  時計を見るとあと十分で八時になるところだった。 「電話だ」  チーフがポケットからスマートフォンを取り出して確認すると「ちょっと外行ってくる」と言って病室を出て行った。  面会時間が残り少ないのに寂しい気持ちもあるけれど、チーフがいない方が芽衣子も気を使わずに済む。 「はぁ」と芽衣子は椅子に腰を下ろした。 「なんか、チーフがそばにいると落ち着かないよ」 「そう?」 「私には冷たいじゃん。出来の悪い部下を相手にする上司みたいでさあ」 「そんなことないと思うけど」 「美月は平気なの?」 「当たり前じゃない。付き合っているんだから」 「気を使わずに、自然体でいられる?」 「チーフがいてくれたらホッとするよ」 「そっか」と芽衣子は微笑んで見せるけれど、どこか不自然な感じがした。
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