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綺麗な赤い珠から伝わる切ない想い。会いたくて会えなくて…。相手を想う愛しい気持ち。梓さんの珠も赤く染まったのかな…。
「おじぃちゃん。この珠が赤く染まったという事は…梓さんと出会う時期が来たということなの?」
水晶玉が赤く染まるまで30年。この長い年月、封印していた想いが今、目に見える形で現れた。
「ああ。優斗、一緒に行って欲しい所というのは…梓の所だよ。」
「梓さんの居場所、わかるの?」
「いや、今はわからない。」
「えっ…じゃあ、どうやって…。」
「この赤い珠が導いてくれる。」
水晶玉をくれた奥さんの話もそうだけど、ちょっと現実離れしている事に今更ながら気づいた。
「わかった。おじぃちゃん。俺、一緒に行くよ。」
「ありがとう。優斗。それとな、こんな秘密を持たせてしまって…本当にごめんな。じぃちゃんを許してくれ。」
おじぃちゃんは俺に頭を下げた。
「やめてよ。おじぃちゃん。俺の意思だよ。俺はおじぃちゃんが大好きだよ。おじぃちゃんは初恋の人に会いに行くだけでしょ?今更、家庭をどうのこうのってわけじゃないでしょ?」
「ああ。波風はたたせないよ。」
「お供するよ。おじぃちゃんと俺の秘密だね。俺も男だよ。約束は守る。」
「ありがとう。優斗。」
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