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司会者の言葉を合図に、記者たちは、一斉に手を上げる。司会者は、前の席に座る、若い中国人の男性記者を指名した。
(李香蘭さん。あなたはどうして、支那の夜などの映画に出たのですか?
あの映画は中国をまったく理解していないどころか、侮辱している。あなたの中国人としての誇りは、どこへ消えてしまったのですか?)
心臓がナイフで刺されたように、ズキリと痛む。満州映画協会の方針で、反中国的な映画に出たのだ。そこで私は、日本人の男に平手打ちをされる、中国娘を演じたのだ。そのシーンが、中国人たちの不満を買ってしまったらしい。
どうしよう…きっぱりと否定しようか、でも、人気を落とすことにつながりかねない…。
短い沈黙の後、私は、口を開いた。
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