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父と母、俺で夕飯を食べていた。
父には授業どんな感じになったとか、母には明日弁当いるかとかそんなことを聞かれた。
適当に返しつつテレビを見ていた。
ご飯食べ終わったし、部屋に引き籠もろうと思っていたら那津が帰ってきた。
「ただいまー…あ、兄ちゃん今日はいるんだ」
「いちゃダメですか…」
「いや、霧山先輩のとこ泊まってくること多いじゃん
最近は特に」
同じ大学で静と同じ学科の那津は、静のことを知っている。
俺と静が仲が良いことももちろん知っている。紹介したの俺だし。
関係は知らないだろうけど。
「お互い暇なことが多いからな
気が合うし楽なんだよ」
「ふーん」
「話に出してきたのそっちなのに何その興味ないですみたいな
酷くね」
「いやまじで興味なかった
それよりも先輩に教科書くれないか聞いてよ
必修なら持ってると思うし」
「自分でどーぞ」
「けーち」
「あ、教養科目のいらないのかそーかそーか」
「うそうそっ!
冗談に決まってんじゃん兄ちゃん!
兄ちゃんめちゃくちゃ優しい大好き!」
「弟に大好きとか…
妹になって出直してこい」
「え、性転換…?」
しまった、母親と同じこと言ってしまった。
母親の方に顔を向けるとニヤニヤしてた。
そういうところあるよな、母さん。
「何取るの?」
「んー…取れるもの適当に取ろうかなって思ってるよ
単位合わせ程度に?」
「まぁそんなもんだよなー」
「どの授業楽ー?
まだ大学入ったばっかだからよく分かんない」
「時間割と便覧持ってきてみ
もらったでしょ?」
「兄ちゃんって優しいよね
食ったら取ってくるから待ってて!」
「ゆっくり食えー」
それから授業の話をしていた。
出席しなくてもいい楽な授業とかあるし。
弟にどうやって楽するかとかそんなの兄として教えていいか迷ったけど。
そんな話を弟としている時に、テレビを見ていた母親がぼそっと呟いたのが聞こえた。
「オカマとかオネェ?とかゲイの人って恋愛対象が同性なのかしら?
もし息子がそうだったらって思うと不思議ねぇ…」
ドキッとした。
ごめん母さん。
その人たちに該当はしないけど、付き合ってるのは同性だよ。
言えないけど。
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