意外と流されやすかった。

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「おーい… 抱き付いてきてそのまま何も言わないって… まぁいっか」 「波留のそういうところ好きだ」 「んぉおう? ありがとな?」 変な返事をしてしまった。 そういうところってどんなところか分からん。 「付き合いたいです」 「おう、よろしく!」 「……酔った勢いで、とかじゃないよな?」 また泣きそうな顔で聞いてくる静。 あ、うん。 ちょっと可愛いかもしれない。 「違うから安心して まぁ、まだ抱かせろとか抱けとか言われても困るんだけど…」 嫌いだからとかじゃなくてな。 さすがに男とのやり方は分からないからな。 ちょっと勉強してからだな。 「それはさすがにまだ… いや、俺は全然抱けるがな」 「あ、そう… 泣き止んでくれた?」 「おう」 安心した。 静に嫌われるとか辛いからな。 「てかいつから好きなの?」 「内緒」 「どこが好きなの?」 「内緒」 「どうして好きなの?」 「内緒」 この野郎、全部内緒で通す気か…! どこが好きなのかくらい聞きたかったな… 「内緒ばっかだ」 「気にすんなよ」 「静は、恋人に隠し事するのか… 俺、何でも言い合える関係がいいし、話してくれないのは辛いからやっぱり俺ら無理なのかな…」 軽く落ち込んだ振りをしてみる。 意外と聞くんだよな。 「初めて見た時に惚れました! だから無理とか言うなよ!」 「…初めてっていつ?」 「それは、追々話すから、今は置いとこう」 すると、ゲームが途中だったのを思い出したのか、画面に向き直ってしまった。 あ、構ってくれないのな。 まぁいいけど。 「しかしまぁ、彼氏ができるとは思わなかったな」 「俺も付き合えるとは思わなかった」 「静モテるじゃんよ 可愛い女の子に言い寄られること多いのにどうして俺なの?」 女の子の方が可愛いし、柔らかいし、普通じゃん? それを言ってしまえば、俺もどうして受け入れたの?ってなっちゃうわけだけど。 「波留は可愛いよ」 「可愛いは、言われても嬉しくねぇかな…」 「可愛いというか、美人だよ」 「それは俺が女顔だと言いたいのか! 知ってるっての! 母さんに似たんだよ!」 俺もイケメンって言われたい… 女顔のせいで、高校の文化祭で毎回女装させられたんだからな…!
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