意外と流されやすかった。

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「てかこの漫画続きは?」 「まだ出てねぇよ」 「ふーん」 初めて読んだけど、意外と面白いな。 ほのぼのしてる日常系のも読んでみるもんだな。ギャグ面白い。 「早く出ないかなー」 「この前それが出たばっかだからまだだな」 「…そっか」 じゃあ何しよっかなー。 やることがなくなり、静のことを眺めることにした。 しかし、世の中は分からないものだな。 何故この男は同性の俺なんかに惚れたのだろうか。 女顔なだけで、実際に女ってわけじゃない。 それに男に走らずとも静の顔と性格なら女なんて選び放題だ。 それはもう羨ましいくらいに。 俺ならあの顔だったら遊ぶと…いや、それはないな。 そんな失礼なことはできないししたくない。 うん、同性に向いても仕方ないな。 そもそも、俺の高校そういうやついたし。 工業高校だったからなのか? 確かに女子は1割くらいだったから、そういうのとかいても普通…なのか? もう分からん。 女子校男子校なら普通… そう思うことにしよう。 「なー、静って男子校出身なのかー?」 「……ちっ、違う! てかお前何で抱き付いてくんの!? 分かってる!? そういうことしちゃダメだから!」 「いいじゃんか別に… 俺、飲んでる時何でもいいからぎゅーってしてなきゃ落ち着かん」 普段静の家で飲んでる時はクッションとかを抱き締めているが、今は静の尻に敷かれていてそれができない。 だから諦めて静に抱き付くことにした。 いいよな、恋人なんだし。 わりと簡単に受け入れる俺は流されやすいのかもしれない。 ちなみに居酒屋では自分のリュックとか上着とか、家だと愛用の抱き枕。 枝豆みたいな感じがお気に入りだ。 「ぎゅー、とか… いや、いいけどさ そういうこと他のやつにするなよ」 またもや顔を真っ赤にしながら、俺に注意をする。 心外だな。 俺はそんな見境いのない馬鹿じゃない。 「彼氏持ちの子とかにするわけねぇだろ! それに彼氏持ちの俺がするわけない」 「恥じらい持って!」 「何を恥じらうんだ?」 「もう酔っ払いやだ! あのね、あんま可愛いことすると襲いますよ」 「顔真っ赤にしながら言われてもな」 まぁ、今回ばかりは本当に、静は勇気を出してくれたのかもしれない。 ご褒美をあげよう。 「告白、よくできました!」 そう言って、静のほっぺにキスをした。
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