第1章

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まず断りに一つ挙げるとしたら、私は立派な犯罪者であるということだ。犯罪者の中にもただの漫画やテレビの影響の者もいるが、私の場合曖昧なものなのかもしれない。何故、ここまで確信的でないかは私が、決め付けることが好きだった母に幼少の頃から反感を感じていたためだと良いし、最悪、私が優柔不断な弱い心の持ち主ということになるだろう。 私は違う。 曖昧に違う。 どう違うかと言うと実に勝手だが、《怨念や殺意は起こるべきして起こった》とでも言おうか。そう、私は怒ったのだ。殺したいまでに怒り、それを遂行した。 咎めは無用だ。何故なら、私は運命という名の歯車に罰せられるからだ。 要するに私は墓穴を掘った。ただそれだけを貴女に伝えたい。愛する貴女に醜態を晒したままこの世を去るのは尚更無念ではあるが、心のどこかでは分かっていたはずだ。あの時、貴女が私への信頼を失ってから私はスッカリ変わってしまった。身も心も人間の姿を忘れた私を貴女は哀しみもない眼で見つめ、およそ5秒もの間で好奇の眼差しで眼球に私を焼き付けた。 貴女は言っただろう。 「業火チャンピオン、ラドルバッサー、勝つのよ!」 私の心をむざむざと裂く可憐な声に踊らされ、私は闘った。
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