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私はガタガタ震えた。
「違う!」
鉄格子はビクともせず、それがヤケにおかしかった。
「違うんだ!」
「アンタは何を犯したんだい?ラドル」
レバスターのウサギ耳が跳ね上がる。ドーベルマンの体が凛として現実を突き付けて来ていた。
「誰かがジェスティーナの家に油を撒いた後、私のライターで火を付けたんだ。ジェスティーナ…。あれ?彼女はどんな存在だったかな?私の恋人のはずだが…。記憶に…ない?」
私の尾の蛇達が火を吐いた。熱くも何とも無かった。
レバスターが私に何か小さな生き物を放って渡した。
「キメラ同士は名前が分かるようになってるんだな。ちなみにそれは、病気の鳥だ。介護してやったら、もしかしたら、キメラ達の記憶を戻す種になるかもしれない。…言いにくいけどよ、俺は連続殺人鬼だ。元の名前は忘れちまった。ラドル、アンタはどうだよ?」
私は病気の鳥の名前が瞬時に分かった。
「私も本名を忘れてしまった。この鳥はチェミという名らしいね。囚人だからと言って動物園の劣化版に連れて来られるのは残酷というものだ。何とかせねば」
レバスターが退屈そうに長い足で耳を掻く。
「その鳥、鉄格子を潜れるんじゃね?俺はペットの世話すると必ず殺しちまう体質でね。アンタに任せるよ」
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