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夢の中で、ぼんやりと長杖を持ち茜色のマントを着たゲーム内の僕が目の前にいた
そして僕が近づくと「彼」は右手を出してきた
僕は迷うことなく握手した
途端、彼の体は粒子となって僕を包んだ
眩しさにうっすらと目を開くと、そこは見慣れた僕のベットの天蓋があった
すぐに気付いたお母様に顔を覗きこまれる
「大丈夫?あなた庭で倒れていたのよ」
「う……大丈夫です、お母様」
「あんな低俗な物をあの場所でやっているからだ。熱中症でもなったんだろう」
気が付かなかったがお父様も部屋にいたようだ
お父様はよく僕が遊ぶ庭に来る
倒れた僕を見つけたのもお父様だろう
ふと、ゲームの端末が手元にない事に気が付いた
外は雨だった
「お父様、僕の倒れていた場所に、端末はありませんでしたか?」
「馬鹿者、あんな端末よりもお前の体の方が大事だろう」
お父様はやっぱりあのエキサイティングな世界も携帯端末にも興味はなかった
けれど、その言葉を聞いた僕は静かに泣いていた
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