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しばらくして僕は高階級専用のRAU収容施設に住むことになった
国内の検査に引っかかった為だと聞いた
連れ去られる僕を見て、お父様もお母様も役人を引き留めていた
僕は嘆くべきでないと思って気丈にふるまった
「お父様、お母様、僕はいつでも大丈夫です。行った先でまたお手紙でもお送りしますから」
僕のゲーム端末は買い換えた
あの日、雨に濡れ、泥まみれになって手元にあった端末は、どうしても動かなかったからだ
そしてある夜、僕は夢の中で、氷の獣を従えて雪山を進んでいた
そしてすぐに寒さから目が覚めた
眼前にあったのは見覚えのある僕のベッドの天蓋……
ではなく、僕の顔の前にある氷の物体だった!
びっくりして硬直しているとその物体には黒い目が存在していることが分かった
僕を襲う気配がない事も分かってきた
ほどなく僕はベッドに座り、動かないその氷の全体を見てようやく分かった
「これはさっきの夢の氷の獣か?」
その夜はずっと、空想したものを発現することの試行をしていた
氷、雷、火、このどれもが僕の思い通りにできた
形作ることもできれば、無形のまま保持することもできた
しかし獣の形にしても、「どう動け」と発想しなければ動かない、魂のない人形だった
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