第一章 目覚め

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ボクは、全身の力を込めて手を動かし、自分の手を見てみた。 どうやら、ボクは5年間もの間本当に病院のベッドで眠っていたらしい。 手が少しばかり老化している。昔のようにピチピチではなかった。 ということは、事故当時、中学2年(14歳)だったから、今現在は19歳ということになる。ボクは、今19歳なんだな。 ボクは、自分が今生きていることに対して少し嬉さを感じた反面、これからどうしようという不安も感じていた。 何せ、5年もの間、昏睡状態になっていたので、高校生活などの記憶などはあるはずもなく、中学2年のときにあかねさんやゆりちゃんにストーカー呼ばわりされていたという記憶と夢田とみほさんが友達になれたというハッピーな記憶が真っ先に脳裏に浮かんだ。 とりあえず今はあまりいろいろ考えないほうがいいだろう。 まだ、上手く思ったことを言葉にすることができないようだ。 しばらくして、父が病室にやってきた。 どうやら、仕事を早く切り上げて来てくれたのだろう。 「おはよう」と父は言った。 「おはよう」とボクは言った。
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