第一章 目覚め

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あれから1ヶ月が経過し、ボクは普通の生活ができるまでに回復していた。 車椅子無しで歩けるようになったこともそうだが、それとあの5年前事故に遭ってからなのかは分からないが、ボクには何やら特別な能力が備わったらしい。その能力に気がついたのは、目覚めて2日目のことだった。 ボクは、病室でテレビを見ながら、朝食の時間をまだかまだかと待っていた。すると、なにか脳の中でキーーーンという高音が鳴り響いたかと思うと頭の中に、ある映像が映し出された。会社のオフィスらしき映像だった。その会社のオフィスの、ある男に映像の焦点が向けられていた。彼の名は「鈴木 健」というらしかった。首から下げているネームプレートにそう書いてあったからだ。ボクは、その映像をもう少し見てみることにした。 その男の机にはカレンダーが置かれていたが、今日は、10日のはずなのに10日のところに『ばつ印』がつけてあった。しかも、この映像は朝の映像だ。朝の朝礼が終わってすぐにカレンダーにばつ印を書く人間はいない。 だとすれば今僕が見ている映像は未来ということになる。 予知夢の類なのだろうか?ボクは、もう少し見てみることにした。 その会社員は、建物から出ると車に乗り込み何やら資料を見出した。 今日の営業ルートかなにかだろうか?そして車のエンジンをかけ出発した。 普通の営業マンの映像だが・・・ボクは、我に返ろうとした。 そのとき・・・いきなり信号を無視して交差点に突っ込んできたトラックとぶつかり営業マンの車はグシャグシャになり、そこで映像は途絶えた。 「まさか、死んだのか??」 まさかそんなことがあるはずがない。
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