第1章

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 あたしの名前はキャロライン!   このお家に、パパとママと住んでるの!  今はママお気に入りのドレスを着せられて、窓辺でちょっとおすまし。あたしはレディーだからお洒落しなきゃなんないんだって。  けどホントはお洋服よりも、お外であそぶほうが好き。ごはんの時間はもっと好き。大好き。そうそう、おなかすいたなあ。ごはんまだかなあ……。 「キャロちゃん、ごはんよお」  あっ、ママだ。 『ごはん! ごはん! ママ、はやく、ごはん! はやく! はやく!』 「はいはい。キャロちゃんは良い子だもんねー。まずは『待て』しようねー」  ママは笑いながらあたし専用のお皿を床に置く。 「待て」  えっ? 待つの? そしたらママ、いっぱい、ほめてくれる? なら、 『うん、うん! 待つ待つ! ずっと待ってるから! だから、ごはん、ちょーだい! ね、もう食べてもいーい?』 「まだよー待てよー」    え!? まだなの?  まだかな?  まだかな?  ねえ、まだ?  まだ?  まだなの?  もう、いいよね?  いっぱい待ったもん!  あたしはお皿のなかに顔をつっこんだ。 「あっ、キャロちゃん!?」  おいしー。ごはん、おいしいよ、ママ。 「5、6秒くらいしかたってないんじゃないか? キャロはバカ犬だなあ……」  今まで空気みたいだったパパが何か言ってきた。 「6秒も待てたなんて……すごいわ! キャロちゃん、偉かったわねー。いい子いい子」  と、ママは嬉しそう。  うん、そうでしょ! ほめて、ほめて! もっとほめて! 尻尾振っちゃう!  だって、  ずっと待ってたんだから! .
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