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「かんぱーい!」
声と同時に店の中でグラスの音が響いた。
「それにしても綾と会うの本当に久しぶりじゃん!2年ぶり? 」
ビールを片手にそう訊ねたのは茶髪のショートヘアが似合う美玲だ。
「うん、2年ぶり! 社会人になってから全く横浜に戻って来てないからねー」
「えー、全く? 綾は横浜に戻る気ないの?」
「戻りたいけどさぁ……」
そんな事言っても今のご時世、転職なんて難しい。
ただでさえ就職先に苦労したし、それに──
「でもまぁこうやって久々に会えたわけだしいいじゃない!」
そう言ったのは私の隣に座っている黒髪のハーフアップをした瑞穂だ。
その言葉に美玲は眉を寄せる。
「でもさぁ、やっぱり会いたいって時に会えないと淋しいじゃん!」
グイッと勢いよくビールを飲む。その豪快な姿が見た目の可愛らしい姿とは異なり、なかなかのおっさんっぷりだ
──というのは内緒にしておこう。
美玲は空になったグラスをドンッとテーブルの上に置いた。
見ると顔が赤い。まだ1杯目だがもう酔っているのだろうか?
「美玲、新しいの追加する?」
「うん……」
「すいませーん! 生1つお願いしまーす!」
瑞穂が近くにいた店員に手を挙げ美玲の新しいビールをオーダーする。
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