夜の横浜

6/8
前へ
/11ページ
次へ
「久々の横浜だもんねー。私も綾と一緒に遊びたいけど明日仕事だしなぁ。仕事じゃなければ付き合ったんだけど……」 「仕事なら仕方ないよ」 「えー? 仕事休みたーい」 泣き言を言う美玲に私は思わず苦笑した。 そんな美玲を宥めながら会計を済ませ店を後にした。 時刻は午後の9時過ぎ。 横浜の夜は空の闇を吹き飛ばすかのように明るい。 それはネオン灯る街灯だけの明るさだけじゃない。行き交わる多くの人々の楽しそうな表情、笑顔。 ……変わらないなぁ。 「どうしたの?」 「え?」 瑞穂が顔を覗きこんで訊ねてきた。 「いや、笑ってるからどうしたのかな?って思って」 「うん、綾が急に笑うから私も瑞穂と同じこと思ってた」 美玲まで……まるで私が怪しい人みたいじゃない。 でも無意識に頬が緩んだのかな? 私は少し恥ずかしくなり頬を手に添え、 「何か、ね。横浜に久しぶりに戻った時は駅中に知らないお店が出来てたり、知ってるお店が閉店して、私の知ってる横浜とは違って少し淋しくなったんだけど……」 「そうだね、2年の間で横浜駅も結構変わったからなぁ」 瑞穂が辺りを見回すように相槌を打つ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加