天使祝詞の降る夜に

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 まず覚えた違和感は、部屋の暗さだった。 「…っだぁ……?」  何やってんだ、エリカのヤツ。  俺が帰るまでに戻っとけって、いつも言ってんのに。  手探りで電気をつけて、部屋へ入る。  そこにもエリカの姿はなかった。  もちろん夕メシの支度なんてされていない。 「チッ、何やってんだ、あのアホは……」  苛立ちは感じるが、俺が何かをやらなければならない義務はない。  家事の一切はエリカの仕事だ。  俺がやるべきことじゃない。  俺はカーテンも閉めずにベッドへ体を投げ出した。  頭の下で腕を組んで、睡魔に身をゆだねる。
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