天使祝詞の降る夜に

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 ……でも、どこで  それが分からなくて、苛立ちを拳に込めて壁を殴りつける。  その瞬間、俺の耳を微かに響くメロディーがくすぐった。  思わずハッと顔を上げる。  広場の中心にたたずむ時計が、今日最後の時報を響かせている。  メロディーラインだけで奏でられるその曲は…… 「……そうだ」  俺は身を翻すと、町を見下ろす高台の上を目指して走り出した。  俺は、エリカの好きな食べ物も、好きな色も知らない。  だけど唯一、エリカが好きなモノは知っている。  三年前の今日も、俺はこの坂を上っていた。  あの頃は何をやってもうまくいかなくて、ムシャクシャしていて、もう何もかもがどうにでもなってしまえばいいと、爆発寸前の危うい怒りを抱えて、目的地もなく町の中をさまよい歩いていたような気がする。
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