オーディション

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「あ゛ーもう!!、、、、だめだ!!!! どんだけ考えても、良い案が思い浮かばない!!!」 深夜0時過ぎ、 私、小林紗季は、1人手元の紙とにらめっこしながら、 盛大に悩んでいた。 「ずっと、、、待ってるから(すごく弱々しい声)」 「ずっと、待ってるからあぁ!!!!(泣きながら大声で叫ぶ)」 「ずっと、待って、る、か、、ら、、(バタリ。意識を失ってみる)」 ブツブツブツ、、、 以上、全て私の大きな独り言である。 「、、、あーもう!だからどれもありきたりなんだってばあぁぁ !!!!」 ガシガシと頭をかきながら叫ぶ。 深夜に大声出して、近所迷惑かな? とも思うけれど、防音だけは完璧なマンションなので、とりあえず苦情が来た事は今までない。 例え駅から20分離れていても! お風呂とトイレが一緒でも! 防音である事を一番に優先して選んだ家だ。 “職業柄”そうせざるを得なかった。 「はぁ、、、仕方ない、、綾に相談してみようかな、、、、」 かれこれ数時間、 私はずっと悩んでいた。 そして、もう1人ではどうにもできなくなって、親友の綾に相談する事にした。 「もしもし?紗季?こんな時間に何の用?」 綾は、今人気の若手役者だ。 「綾ー!!!いやほんとこんな時間にごめん!!! 今をときめく芸能人様にちょーっと相談がありましてー!!!!」 「、、、ごめんと言いながらあたり前のように電話してくるよね、あんたわ」 深夜過ぎに相談の電話、、、 いくら親友といえどもかなり迷惑な話である。それでも許してくれる。 そんな関係。 「オーディションかぁ、、、 課題って、その一言だけ?シチュエーションとか、他に何かないの?」 「それが、シチュエーションは自分で決めていいの、課題の一言以外は全部自由で、エチュードみたいな感じ! 自由ってのが一番難しいんだよね~」 実は、私も今芝居をやっている。 綾ほどではないけれど、ちょっこちょこと役は取れて、ほんの少しだけお仕事をさせてもらっている。 今回事務所から参加してみないかーと紹介されたオーディション、、、 なんでも、脚本より先に役者を揃えて、何か浮かぶものがあれば役を当て書きしてくれるだとか。
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