[日曜日]

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ポカポカ暖かい日差しに 目が覚める 「洗濯しよう」 溜りに溜まった洗濯物を 真新しい洗濯機に放り込んだ 今週は色んなことがあった 仕事でうまく行かなかったり 彼と喧嘩してしまったり 友達とのディナーを出来なかったり 録画してたドラマも見れなかった 掃除機をかけながら ふと友達の結婚式の招待状をみた 「絶対来てね(。・ω・。)」 幸せを手に入れた友人 あたしは何を手に入れた? 仕事? 地位? お金? …愛? ぴーっぴーっぴぴっ… 静かな部屋に 鳴り響いた洗濯機の主張音 「干さなきゃ」 天気が良くてよく乾きそうだから ベランダに干そう 一度は夢見た 当たり前の奥さん像 でもあの頃あたしは 仕事が楽しくて 結果を出す事に追われていた そんなのいい訳だって 分かってる ふと苦笑いした自分が いやになった。 ポカポカの日差し 夏の匂いがする風 近所のうちの、家族団欒の声 ブーブー…ブーブー… 色気のない携帯が 私を呼んだ 「もしもし?」 「なあ?」 ちょっともぞもぞする彼の声 「あ、この間ごめんね?」 「仕事忙しかったんだろ?大丈夫だから」 「本当にごめん」 なんだろ涙が溢れてくる きっと日曜日の" 音"がいけないんだ 「大丈夫か?」 心配してくれる彼がいて あたしはこの幸せにすら気づかずにいたんだ 「ありがとう大丈夫!」 精一杯の強がりを告げた 「話したいことあって」 あー、またあたしは大事な人を失うのか… 「あのさ…」 チクタクチクタク… 壁時計の音が響く…… … …… ………………… 「結婚しないか?」 晴れた日曜日 洗濯物の陰 窓から聞こえる風の音 遠くに聞こえる笑い声 また明日には月曜日がやってくる いつもとは違う月曜日 私は友人の招待状に 丸をつけた ―出席―
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