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-春-
いきなりだが、俺には好きな人がいる。
隣の家に住む同い年の幼馴染み、佐野友梨。
いつから好きなのかはわからない。
気づいたら好きになってた。
ずっと一緒にいたのに気づいたらもう中3になってた。
あいつは運動神経が良いからバレー部のキャプテンをやっていて引退したくないから勝ちたいからと言って毎日遅くまで練習していた。
俺はその自主練を手伝い、おばさんに頼まれたから友梨と一緒に帰っていた。
これが幼馴染みの特権なのかな?
でもあいつに彼氏ができたら終わりなんだろうな…
「ねぇ、陸話聞いてる?」
顔をのぞき込んでくる
「あ、悪い。」
「人の話はちゃんと聞いてようねー」
「はい。すいませんでした。」
最近こんなやりとりばかりだ。
「で、なに?」
「だから、陸はいつもあたしと帰ってるけど好きな人とかいないの?」
「え?」
え?ん?これは言ってしまってもいいのだろうか。
でも言ってもし振られた時にこの関係に戻れない気がして怖い。
「いないよ。」
これが幼馴染みという境界線。
俺はここから一歩でいいのにそのたった一歩を踏み出せないでいた。
「そっか…」
なんでそんな悲しそうな顔するの?
俺、バカだから期待しちゃうよ?
「着いたぞ。じゃあな。明日の朝もいつもの時間に迎えに行くから」
「うん。じゃあね。」
友梨と別れ隣にある自宅にはいる。
ここら辺は街のはずれでお年寄りばかりが暮らしている。
コドモなんて俺らくらいだ。
それに学校までかなり遠い。
だからいつも一緒に行ってる。
これを友梨はどう思っているのだろう…
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