第1章

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グラン・シャリオン時代の話は、ひとまずこれで、おしまい。ジョーカーと命拾いしたマスターの後日談は、また機会があれば。 グラン・シャリオン時代に現れた扉は、ここにはもう現れないのだろうか。 あの時マスターが扉を開けていたら、きっとエメロードはない。マスターが強者で良かったと心からそう思う。 開けてはいけない扉を、もしかしたら今、何処かで誰かが開けてしまっているかもしれない。 ジョーカーの言った『開けなかったのはマスターだけだよ』…開けてしまった人が何人かいるという事だ。想像したくないな…。 気づかないだけで、振り向けば扉があるのかもしれない。ジャックダニエルをストレートで飲み、消えそうなくらい小さな鼻歌が聞こえたら、その人はジョーカーだ。 ジョーカーが何か言ったら…耳を傾けて。 きっと、あなたを救ってくれるはずだから。 今日も夜の街に色んな想いを抱えた人々が溶け込んでいく。陰と陽が渦巻く夜の街に。 こぼれ落ちる感情を捨てる人、拾う人…人の数だけドラマがある。 ここはBar エメロード。余計な詮索は無用。 キィィ…入口の扉が開いた。 「いらっしゃいませ。」 完。
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