第1章

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ここはBar エメロード。俺はこの店のバーテンダーをしている。 Bar グラン・シャリオンが売りに出され、今のオーナーが買い取り新たにBar エメロードが誕生した。 改装はしたが、所々にグラン・シャリオンが残されている。それはオーナーのグラン・シャリオンに対しての敬意だと俺は思っている。 これはグラン・シャリオン時代の話。 いつもカウンターの同じ場所に座るジョーカーと呼ばれた男がいた。 ロングの煙草を口に銜えて、首を傾げながらジッポで火をつける。スラッとした指で挟み眉間に皺を寄せながらフゥーっと煙を吐く。 薄暗い店内にオレンジ色の柔らかなスポットライトがカウンターを照らして、そこに吐かれた一筋の煙が手に持つ煙草から立ち上る煙と重なって煙のアートを作り出す。煙たそうに目を細め、煙草を吸うその様は惚れ惚れするほどカッコいい。 だけど、何処から来るのか何をしてるのか…誰も知らない…。
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