第1章

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ジョーカーが好んで飲んだのはジャックダニエル。 キープボトルのホルダーに書かれた《J》の一文字。 そして、ストレートで何杯か飲むと決まって鼻歌が聞こえてくる。 消えそうなくらいの小さな鼻歌…。ン…ン…ン…ン…。 その音は…ド…ソ…ミ…ソ…。 伴奏? 4つの音が繰り返される。 暫く続けてピタッと止まる。 煙草の煙と鼻歌は不思議な空気を漂わせた。神秘的な気を放つジョーカー。 彼が何者で何処の誰でも、誰も干渉しない。それは夜の街独特の空気だ。 ある時、ジョーカーが帰り際に言った。 「マスター、あの扉。開けるなよ。また来る。」 あの扉? どこに扉があるんだ? ………扉って…なに…。
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