第1章

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扉を開けることに躊躇するようになった。 キィィィ…ゆっくり開ける。小さな扉も中に何が入っているのか分かっているのに…。 トイレの棚の扉を開ける…。 キィィィ…ゆっくり開けた…「ひっ!」バタンと勢いよく閉めた! 鼓動が早くなる。全身が心臓のように。 あまりに扉に捕らわれて自分の中で恐怖を作り出している事に気づかない。 自宅の玄関を開ける時にさえ…誰もいないはずの自分の家なのに…。 カチャ…ギィィィ…1センチ…10センチ…徐々に開ける。 暗闇に外からの灯りが玄関に延びる。 「…何、やってんだ…。」 扉を開ける時、気づけば決まってジョーカーの鼻歌が頭に流れた。 ん…ん…ん…ん…。
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