第1章

8/12
前へ
/12ページ
次へ
ジョーカーが増えたと言った扉。扉を見つけてからマスターも3つの扉を確認している。 ジョーカーが言った通りに扉は開けていない。 あるはずのない場所に扉が出現しては消え、消えては出現する…。一体、何だろう…。 開けたい衝動を抑える…。 決まって聞こえるジョーカーの鼻歌…。 まるで、扉を開けるなと止めてくれているようなタイミングで聞こえる。 扉を見つけてから1ヶ月が経った頃、ふと、最近、扉を見ないなとマスターは、そんな事を思った。 ジョーカーは、変わらず飲みに来ていたが特に何を言うでもなく、いつものようにカウンターでジャックダニエルをストレートで飲み、煙草の煙でアートを作り、暫くすると消えそうな鼻歌が微かに聞こえてくる。 ん…ん…ん…ん…。 そして、ピタッと止まった。 「マスター。」 今度は何を言うつもりだ…ジョーカー。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加