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「これからゆっくり、お母さんとのコト思い出していこう。21年分なんだからさ、ゆっくりで良いじゃん。何度も思い返す内に、ノリちゃんの解釈も変わっていくかもしれない。
勿論、何も変わらないかもしれないけど。それならそれで良いじゃんね?」
「良いの?」
「良いでしょ」
彼の笑顔は、いつも通り晴れ晴れと可愛らしい。
「俺も、親へのイメージとか最悪だけど、罪悪感の欠片もないよ?
高校の時に先輩から無理矢理持たされたエロゲーを夜な夜な俺がやってんの確認して、あろうことか担任に相談したんだぜ、うちの母親。
品行方正な爽やか青年で通っていたのに、先生から『ゲームも良いけど、もうそろそろ受験だからDVDにしとけ。二次元が好みか?』とか真面目な顔で言われて死にたくなったッ!」
知らんがな。
思わず吹き出してしまう。
「無理矢理持たされたのに、えらい頑張ったんだね?」
「そーなの、真面目なもんだから」
そう言って、ニパッと笑う彼。
嫌味に気付いているのか判らない。でも嫌味が全く通じていないことは明らかだ。
年上で保護者な彼は、その半面純粋で真っ直ぐで、単純だった。
あれこれひねくれて考えまくってしまう私は、彼のそういうところが心から好きだった。
彼の傍では、私も浄化されるようだった。
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