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私は鏡台の小さな引き出しを開けた。
こちらも、統一性のない小物がバラバラと適当に並んでいる。
その隅にひっそりと、封の切られたセブンスターの箱を、私は見つけたのだった。
ぁあ、こんなところに隠していたのかと、ちょっと可笑しかった。
こんなところに置いたまま、処分もせずに逝っちゃうなんて。祖母が見つけたりしたら、またあれやこれやと母への愚痴を言いまくるだろう。
最期まで要領の悪い人だと母への親近感が妙に湧いて手を伸ばしていたところに突然妹が入室してきたものだから、私はついそのままポケットに突っ込んでいた。
今更にそのタバコを目の当たりして、私は、改めて考えてしまっていた。
母は、タバコを隠していた。
タバコを吸っていた自分も、隠していた。
けれど、母が隠していたのはそれだけだったのか。
思えば、私が母に対して否定的だったことも、母が私に対して否定的だったことも、母はすべて隠していた。
更には、私への確かな愛情ですら隠して……
いや。
違う。
そうじゃなくて。
隠していたのは、私なのだ。
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