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episode185 フェミニストと訳ありの生贄②
「あの……」
明らかに仕事帰りといういでたちの凪は
少し面食らった顔をして。
「こっちよ。来て」
女王様にせっつかれるまま
問題の発生しているパーティー会場を横切ってきた。
もともと
純粋で嘘が下手な男なんだ。
「編集長から頼まれ事を……」
「ええ、知ってる。私がお願いしたの」
こんなところでやめてくれ。
僕に投げかける
秘密を共有する者特有の視線。
「こいつをお渡ししろと」
征司と九条さんに挟まれた僕を
熱い瞳で見つめながら。
「ありがとう」
持って来た封筒を
何の疑いもなく魔女の手に渡すんだ。
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