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「どんな方法も君を助けないから――」
憐み。
無償の愛。
こんな時まで綺麗な目。
「分かってる。悪いのはあなたじゃない」
見つめあうといつだって思う。
僕はなんて馬鹿なんだろうと。
「君の身体から完全に薬が抜けるまで」
「ここから帰れないんだね」
「そう……僕と征司くんが3日交代で見張るから」
温かい手。
僕の手を両手で包むと。
「頑張れそう?」
罪悪感を抱くべきは
僕の方のはずなのに――。
「ごめんね」
「九条さん……」
彼の方が
不安で泣き出しそうな顔で言った。
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