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結局自分から
大切な物を次々と壊してゆく。
僕は――。
しばらく背を向けて
暗闇に立ち尽くしたまま。
本当は九条さんが車から下りて
今一度僕を抱きしめてくれることを
期待していたのかもしれない。
だけど
覆水盆に返らず――だ。
無情にもエンジン音が鳴り響き
車は僕の背後でUターンして走り去った。
「ごめんね……」
遠ざかって行くテールランプに詫びる。
「ごめん……」
結局
僕は彼を愛していたから――。
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