164人が本棚に入れています
本棚に追加
出し物は終わりとばかり
少しずつ人の輪が散らばりかけた会場の真ん中で。
「大至急送って欲しい資料があるとお願いしていたのよね」
茶封筒の封を切りながら
わざとらしい高い声で貴恵が笑った。
「すごいな。フェミニストの集いですか?」
怪訝な顔した二人の紳士の視線に
耐えられなくなったのか。
凪は社交辞令の笑顔を浮かべて
落ちつかなさげにあたりを見回す。
「ええ、そうよ」
もう少し
僕が正気だったなら。
「あなたもパーティーを楽しんで」
もっと早く
悪女の企てを止められたんだろうけど――。
最初のコメントを投稿しよう!