episode185 フェミニストと訳ありの生贄②

2/30
164人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
出し物は終わりとばかり 少しずつ人の輪が散らばりかけた会場の真ん中で。 「大至急送って欲しい資料があるとお願いしていたのよね」 茶封筒の封を切りながら わざとらしい高い声で貴恵が笑った。 「すごいな。フェミニストの集いですか?」 怪訝な顔した二人の紳士の視線に 耐えられなくなったのか。 凪は社交辞令の笑顔を浮かべて 落ちつかなさげにあたりを見回す。 「ええ、そうよ」 もう少し 僕が正気だったなら。 「あなたもパーティーを楽しんで」 もっと早く 悪女の企てを止められたんだろうけど――。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!